ペインクリニックってどんな時に受診するの?
おち内科・ペインクリニック 越智貴紀 先生
突然ですが、皆さま「ペインクリニック」という科をご存知でしょうか。「ペイン」とは「痛み」を意味します。つまり、痛みを専門的に診療する科ということになります。なるほど、なるほど。でも、そうすると次の疑問が出てきます。どんな痛みの時に受診したら良いの?そうなんです。まだまだペインクリニックがどの様な診療をしているか、ご存じない方が多いのではないでしょうか。そこで、今回はペインクリニックでの診療をご紹介いたします。
慢性疼痛
長引く困る痛み(慢性疼痛)には、原因がはっきりした痛み(慢性二次性疼痛)と原因が画像や血液検査で診断しにくい痛み(慢性一次性疼痛)があります。
特に慢性二次性疼痛では原因を診断することは大切ですが、診断がついても完治が難しいことがあります。治らないからと、慢性疼痛を放っておくと、仕事や家庭での普段の生活が大きく損なわれます。また運動器(筋肉・骨格・神経系の総称)の加齢性変化による慢性疼痛は多くの高齢者が抱える深刻な悩みとなります。
完治しにくいことがある、五十肩や変形性膝関節症、腰部脊柱管狭窄症など運動器の変性や損傷と帯状疱疹後の長引く痛みや、片頭痛をはじめとした慢性頭痛など検査だけでは診断しにくい痛みには、ペインクリニックの専門的な技術を用いて痛みを緩和し、生活しやすいようにお手伝いいたします。
帯状疱疹は皮膚科の疾患ですが、残ってしまった神経痛はペインクリニックが本領を発揮する代表的な疾患です。神経痛専用のお薬や神経ブロック注射はペインクリニシャンの腕の見せ所です。
頭痛と言えば脳神経外科!という認識の方も多いのではないでしょうか。もちろん脳神経外科の先生方は頭痛の診療に長けていらっしゃいます。一方で、ペインクリニックでも頭痛はよく診療しています。お薬の調整や交感神経のブロック注射を行い、その場の頭痛を収め、そして頭痛が起きにくい状況を維持できるようにお手伝いするのです。
急性疼痛
腹痛や胸痛など、感染症や内臓疾患から生じる痛み、虫垂炎や胆嚢炎による腹痛、狭心症による胸痛や、骨折など外傷の痛みのような急性疼痛のほとんどは、ペインクリニックでの診療の対象外にはなります。しかしながら、痛みが辛くてご相談にいらっしゃる患者さんのお悩みに少しでもお役に立てるよう、できる限りのお手伝いはするのです。なかには腰痛や寝違え等ペインクリニックで診ることもできる疾患もありますので適切に対応します。
癌性疼痛
癌による疼痛もペインクリニックでの診療範囲になります。総合病院など大きな医療機関では麻酔科やペインクリニック科の医師が麻薬をはじめとした鎮痛薬の調整を行うこともあるでしょう。しかしながら、現在は鎮痛薬も進化し、使用方法も標準化されてきていますので、主治医の先生による疼痛管理が行われることがほとんどです。
以上の様に、ペインクリニックでの診療は、他の科の治療と重なることがほとんどです。この疾患だからペインクリニックに相談しよう、ではなく、疼痛に悩まれる方は医療機関を受診してください。