病気について知る病気の解説

ヘバーデン結節とブシャール結節

2024年12月17日

日野整形外科医院 日野裕三 先生

  日常生活に欠かせない手指の動作に、物を握る、つかむ、つまむ、ひねる、ささえる、もちあげるなどがあります。その手指を使うことを妨げる病気はいろいろとありますが、話しきれないものですから、そのうちの40歳以降の女性に多くみられる「ヘバーデン結節」と「ブシャール結節」についてお話しします。

 ヘバーデン結節は女性に多く、発症は男性の約10倍です。指の第一関節に、誘因なく腫れ、変形、うずきが生じる病気です。原因は明らかでなく、加齢や家事、仕事でよく指を使うことが原因の一つともいわれています。また、更年期や女性ホルモンが関与していることもわかってきました。遺伝関係はわかっていませんが、お婆さんや親戚のおばさんなど身内にかかっている人がいる方は指に負担をかけないようにしましょう。
 症状としては、はじめは指の第一関節に腫れや痛みを生じ、指先に力を入れても痛みを感じます。放っておくと安静時にも痛みが生じてきます。ひと指し指から小指のうちの指に生じることが多いのですが、親指にも生ずることがあります。指の第一関節の甲側に関節を挟んで2つのコブ(結節)が出来るのが特徴です。また第一関節のコブ状にふくらんだ中にゼリー状の液がたまって、ふくらんでいることもあります。
 治療として、まずはアイシングやサポーターの装着、局所の安静(固定)テーピング、急性期にはステロイド剤の関節内注射を行うこともあります。痛みの強い時には鎮痛剤の投与も行います。炎症により異常な新生血管が生じている時には動脈注射をすることもあります。手術で関節を固定することもあります。放っておくと自然には改善せず、徐々に進行していきます。痛みが続いたり、次第に変形が進み屈曲した状態で固まってしまいます。

 次に指の第二関節に起こるブシャール結節があります。関節の痛みや変形、腫れ、屈曲変形が起こる病気です。ヘバーデン結節と同じような症状がみられる指の変形性関節症の1つです。慢性関節リウマチ、乾せん性関節炎、痛風などとの鑑別が必要になります。ブシャール結節もはっきりした原因はわかっていません。指の酷使、遺伝、加齢、更年期、ホルモンバランスの変化などが、発症に影響しているのではないかといわれています。放置すると指の第二関節の変形、痛み、コブ状に腫れてきます。関節の動きが制限され、物を握る、つまむ、ペンが正しく使えない、タオルを絞れないなど、日常生活動作に支障をきたします。慢性関節リウマチも手指の第二関節に発症することが多くみられる為、鑑別することが大切です。

 ヘバーデン結節もブシャール結節も大切なのは、出来るだけ早く受診し、治療をすることです。指の第一関節や第二関節に痛みや変形がみられたら、お近くの整形外科を受診してみてください