病気について知る病気の解説

なぜ、爪は巻いてしまうのか? ー巻き爪についてー

2022年9月9日

 なぜ、巻き爪が発症するのでしょうか。実は、爪はもともと内側に巻き湾曲する性質があります。爪を長く伸ばすと湾曲してくることがわかると思います。
 では、逆に爪が扁平になる理由を考えてみましょう。足の指の爪には、歩行すると地面から爪を押し上げようとする力が加わってきます。指の中央には骨があるために爪の外側のみ押し上げようとする力が伝わります。爪を巻こうとする力と地面からの爪を押し上げようとする力のバランスで爪の形が保たれます。

 この爪のかたちのバランスを崩す原因としては、歩き方、靴、爪の切り方、足の変形などがあります。
 巻き爪予防には、歩行時に足の親指の先端でしっかりと地面を踏んで、足の指先に力を伝えるように蹴りだすことが大切です。指先が地面に着かない、いわゆる「浮き指」だと、爪に地面からの力が伝わらないので爪が巻いてくる原因になります。「浮き指」になっていることは、自分自身では意外と気づいていません。足指で地面を掴むくらいの気持ちで意識的に地面を蹴りだすことが大切になります。

 靴については、パンプスなど窮屈な靴は足指の爪を外から圧迫する事になり、爪が巻きやすくなります。逆に緩すぎる靴も歩行時に靴の中で足が前に動いてしまい指先が圧迫される事になり、爪の変形の原因になります。靴については足首、足の甲、踵が靴にしっかりと固定されることが大事で、ハイヒールなど足の指先が圧迫を受けるのもよくありません。
 爪の切り方ですが、短く切りすぎる「深爪」は地面からの力を爪が受け止めることができず、巻き爪が起こりやすくなります。さらに爪周囲の皮膚が持ち上げられて指の先端部分が盛り上がることになり、爪の先が皮膚にくいこんで、痛みや炎症の原因になります。爪はあまり短く切りすぎず、両端の角を少し残すようにすることで、地面からの力を受けとめるようにします。

 足の変形に関しては、外反母趾などの足指の変形が強い人や、加齢などで筋力の低下があると正しい歩き方が難しく、足指に地面からの力が伝わらないので巻き爪の原因になります。また、寝たきり状態などで、長期間、歩行していない人も爪が巻きやすくなります。

 治療については、薬物療法などによる保存的治療や、爪の形を矯正する方法、手術による方法があります。
 軽症であれば保存的治療と生活指導で対処可能ですが、治療に難渋することもしばしばあります。重症になると手術治療が行われることがあります。また、健康保険が適用されない治療法ですが、ワイヤー、クリップなどで爪の形を矯正する方法がありますが、爪が伸びてくると再発が多いので繰り返し治療を続ける必要があります。

 相談先は皮膚科、形成外科、整形外科を受診されると良いと思います(なお、医療機関により採用する治療法に若干の違いがありますのでよくご相談ください)。