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飲水習慣で結石予防

2022年11月4日

 人の体の60%は水分で構成されており、うち5%が血液成分です。血液は心臓から5L/分の量が全身へと送られ、そのうちの1L/分が腎臓へと送られます。そのうちさらに20%が濾過されて、結果的に1mL/分が尿となり約1500mL/日が排泄されます。

 血液量は摂取水分量によって増減し、それは尿量にも影響することは皆さんも経験からご存じだと思います。代謝による余剰物質は常に尿中に排出され、尿量が少なくなることで余剰物質濃度は上がり、結晶化しやすい環境となり結石が生じます。最初は非常に小さな結石ですが、濃度が上がった尿環境が続けば大きくなっていきます。尿は腎臓で作られ→腎盂→尿管→膀胱と流れていき、生じた結石が大きい場合には治療が必要になります。特に、尿管は内径が小さいため約10mm程度までしか自然排出されません。尿管内で詰まった場合には、尿流の鬱滞によって腎臓が腫れ、腰痛や腹痛といった症状が生じます。そのまま放置していると腎機能が下がったり、鬱滞した尿に細菌が感染して腎盂腎炎という感染症が引き起こされるなど、重篤な状態となる場合があります。

 これらを予防するために大事なのは、飲水の習慣をつけることです。1500mL/日の尿が排泄されることを考えると、1500mL/日以上の飲水が必要なことは感覚的に分かっていただけるかと思います。尿路結石の再発率は5年間で43%と非常に高く、そこには飲水など生活習慣の改善という問題があると考えています。水でもお茶でも結構ですが、こまめに飲水することが最も大事です。