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新しい片頭痛治療法

2022年12月9日

 日本において頭痛を訴える人は4人に1人、その中で約3割が片頭痛といわれています。片頭痛は、若い年代に多く、女性の方が男性よりも約4倍多いとされています。一般的には片側性および拍動性(ズキンズキンと脈打つような痛み)とされていますが、両側性や非拍動性(締め付けられるような痛み)の場合もあります。光や音に対して過敏になったり、吐き気を伴ったりすることもあります。
 頭痛は鎮痛薬を使用しない場合、4時間以上と比較的長く持続することが多いため、日常生活に支障を来すことが多い疾患です。また一部の症例では、閃輝暗点(視界にギザギザした光の波が見える)や視野狭窄などの前駆症状が頭痛に先行します。
 頭痛の症状は、自分自身にしか分からないため、上手く表現できずに診断に到達しないケースも多いとされています。まずは、頭痛の専門医にかかり、しっかり時間をかけて診断してもらう事が大切です。

 片頭痛の原因は、様々な誘因を引き金に三叉神経という脳神経が興奮し、CGRPなど、血管を拡張させる物質が放出され、血管の炎症を引き起こすために激しい痛みが起こると言われています。
 遺伝や体質的なものとされており、根本的な治療法はありません。そのため、予防と発作時対応が治療となります。これまでの予防法としては、抗てんかん薬、抗うつ薬、血管拡張剤、食生活の改善、睡眠不足の解消など生活習慣の安定が行われてきました。また頭痛発作時対応としては、トリプタンという薬が使用されてきました。
 しかし、こうした治療を行っても、十分に発作が抑制出来ない方がまだまだ多くいらっしゃいます。
 そんな中、CGRP関連製剤といわれるものが、日本で保険承認されました。
 CGRPというのは、三叉神経から血管拡張に至る過程で発生する伝達物質となります。これをブロックすることで劇的に発作を抑制することが可能となりました。個人差はありますが、著効例では、毎日のように発生していた片頭痛発作がほぼ0になった方もいます。
 この薬については、
①注射製剤である
②根本的治療ではなく、効果の持続が1〜3ヵ月であり、繰り返しの投与が必要である
③適応基準が厳しい薬剤であり、発作頻度や重症度が高い症例でしか使用できない
④日本人には、片頭痛と片頭痛ではない発作が混在する混合型頭痛が多いとされており、その場合、片頭痛にしか効果が期待できないため、効果が半減される
など、まだハードルの高い治療法ではありますが、その効果は絶大であり、一考の価値ありです。
 診断基準を満たすためには、画像検査などでの除外診断も必須条件となるため、病院や脳神経外科クリニックなど画像診断の可能な医療機関での診断が必要となります。片頭痛でお困りの方は一度受診をしてみてはいかがでしょうか。