尿に関すること -夜尿症から腎臓病まで-
2023年3月10日
尿は、地味ですが大切な健康の指標です。
かかりつけ小児科には、学校検尿異常の子どもたちも多く来られます。腎臓は生命維持に必須ながら、病状が自覚されない「物言わぬ臓器」です。小児でも将来の腎不全につながる状態が放置されやすいですが、学校検尿を含む医療と学校、行政の連携により、発見と治療が改善しました。かかりつけ小児科では、乳幼児健診や学校検尿などでの小児慢性腎疾患の発見から、小児腎臓病専門施設での腎生検、入院治療に至る緊密な連携で、地域の小児腎疾患診療に幅広く関わっています。
尿に関連するといえば〝おねしょ(夜尿症)〟も多く拝見します。5歳を過ぎておねしょが月1回以上、3カ月続くと夜尿症とされます。おねしょは小学校の新入生でも100人いたら10人はいる状態です。まれな例外を除き成長とともに卒業しますが、個人差が大きく、本人や家族の精神的負担が大きい場合には通院が有用です。まずホルモン、脳内、腎臓や泌尿器の異常など〝単純な〟おねしょではない病気を否定したのち、おねしょの卒業を後押しするために、晩ご飯から就寝までの水の飲み方、就寝前の排尿、おねしょで出た尿量の確認など、子どもの日常生活に寄り添った取り組みから始め、卒業のスピードアップを助けるお薬やアラームなどを使って工夫します。宿泊訓練や修学旅行などそれぞれの生活ステージに合わせ、一人一人に合ったやり方で焦らず取り組んでいきましょう。
尿の悩みは他にもありますが、「病院に行くのはどうか」とためらうささいなことでも、積極的にかかりつけ小児科を訪れていただければ幸いです。