3歳児健診での視力検査について
3歳児健康診査(健診)は、満3歳から満4歳になる前の子どもを対象に、母子保健法に基づいて各市町村で実施される健康診査です。健診には成長発達に関する多角的な項目が含まれますが、今回は細かく物体を識別する能力を示す「視力」に関して解説します。
人間の眼は、生後すぐは光が分かる程度ですが、3歳までに急速に発達し、3~5歳で多くの子どもが1・0に達します。この時期に網膜まで鮮明な映像が届かない状態があると視力発達が妨げられ、発達の感受性が少なくなる6~8歳ごろまでこの状態が続くと、眼鏡をかけたとしても良好な視力が得られない状態(弱視)になります。原因としては、遠視や乱視といった屈折異常、斜視、白内障や網膜異常といった先天疾患が挙げられます。
眼鏡装用や弱視訓練などの治療をできるだけ早期に行い、視力発達を促進することが必要ですが、小学校への就学時健診で弱視の状態が発見されたとしても、視力発達の感受性が少ないために治療効果が弱いことが多いため、さまざまな検査が可能になり治療する期間も十分にある「3歳児健診」の時期に、視力や眼の状態を確認することが重要です。
松山市では3歳4~5カ月ごろに健診のお知らせがご家庭に送られていますが、まずご家庭で視力検査を行っていただき、健診会場では場合により再度視力検査を行い、小児科医の診察の後、眼科での精密検査を相談することになります。
現在は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、3歳児健診は保健所での集団健診から医療機関での個別健診に一時変更されています。今後、集団健診へ復帰する際には、屈折検査機器でのスクリーニング測定が追加され、より多くの屈折異常が発見されることが期待されています。とはいえ、視力検査が難しいことも多く、健診のみですべての状態を確認できるわけではありません。
視力発達に関して気になる場合は、眼科医療機関での精密検査が必要であることをご理解いただき、まずは3歳児健診を確実に受けていただくようにお願いします。