病気について知る病気の解説

肺動静脈ろうのカテーテル治療

2023年4月14日

 肺動静脈ろう(肺動静脈奇形ともいわれる)という病名を聞いたことがありますか。
聞き慣れない病名ではありますが、肺の代表的な病気の一つです。肺に血液を送る肺動脈と肺から血液を送り出す肺静脈が異常な血管(ろう孔)を通じて直接吻合する病気で、血液中の酸素濃度が低下し息切れやチアノーゼなどの低酸素血症や、奇異性塞栓(静脈にできた血の塊や細菌がろう孔を通じて動脈に入り血管が詰まる)による脳梗塞、脳膿瘍(細菌に感染して脳に膿がたまる)、ろう孔破裂による喀血や血痰の原因となります。
 そのほかに頭痛やばち指(太鼓のばちのような指の変形)などの原因になります。肺動静脈ろうのある方は、脳梗塞や脳膿瘍になった後に肺の精密検査で発見されることも多く、若いうちから合併することがあり注意が必要です。一般的に少ない病気ですが、日本人での大規模な疫学調査では、肺検診CT検査で10万人あたり38人発見されていますので決して稀とは言えません。

 オスラー病という遺伝性のある病気では高率(約25%)に数カ所に肺動静脈ろうを合併します。オスラー病とは若年から繰り返す鼻出血、肺・脳・肝臓・消化管などの血管異常を伴うことがある家族内発生する遺伝子異常による病気です。一般的には症状のない方が多く、偶然に胸部レントゲン検査にて異常を指摘され、胸部CT検査にて診断されることも多い病気です。慢性的に経過しているために自覚症状がないことが多く、詳しく聞くと普段から息切れや疲れやすい、頭痛が多いなどの症状があり、治療後に症状が改善する方も多くみられます。

 治療に関しては症状のある方、あるいはろう孔の径が2〜3cm以上、ろう孔につながる血管径が2〜3mm以上であると積極的な治療が必要となります。症状が軽くても脳梗塞や脳膿瘍の予防のために治療を勧められることがあります。
 治療法としては手術で部分切除あるいはカテーテル治療による金属コイルにて異常血管を塞栓する(詰める)治療法があり、最近では手術よりも身体の負担が少ないカテーテル治療が広く行われてきています。カテーテル治療では細いカテーテルをろう孔まで挿入し、異常血管を金属コイル(柔らかい糸状の金属製品)あるいはプラグ(メッシュ状の金属製品)で血流がなくなるまで詰めていきます。全身麻酔は使用しませんのですぐに回復し身体的な負担は少ないです。うまく治療ができ、症状改善した後もしばらくは定期的な診察や検査が必要になります。特にオスラー病の方は多発することがありますので長期間の定期観察が必要となります。
 気になる症状のある方は一度、肺CT検査を受けてみてはいかがでしょうか。