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産後ケアについて

2023年6月16日

 みなさんは「産後ケア」と聞いてどのようなことを思い浮かべますか?

 産科に携わるわれわれは、まだまだ産後ケアが浸透していないと感じています。

 実際に行われている産後ケアの例として「ゆっくり休んで心身の回復を図る」「授乳や育児指導」「育児相談」等々が挙げられます。 お母さんたちは、妊娠前とは異なるホルモンバランスや社会的役割の変化、身体的な変化などにより、母親となる準備が始まっていきます。妊娠中は出産後の生活へ夢や期待が広がっていたのに、出産後は「こんなはずではなかった」と悩む方も多数いら
っしゃいます。お母さんの悩みはさまざまで、産後ケア施設の得意分野もさまざまです。出産前とは異なる生活の変化で不安感や自責感が生じ、産後24時間休みなく続く予測不可能な育児や、赤ちゃんとの関係を構築する難しさにより、落ち込んでしまうことも多々あります。そのようなお母さんたちに適切な支援と産後ケア施設のマッチングをしてくれるのが保健所です。しかし「これくらいで産後ケアを利用するのは申し訳ない」と考えるお母さんも少なくないのが現状で、家族や周囲の方たちの後押しが必要なときもあります。
 令和5年5月時点でこの産後ケア事業は、中予医療圏域では松山市のほかに松前町・伊予市・砥部町・東温市も行っています。産後ケア利用回数について松山市を例にとると、令和2年度では63回であったのが、令和3年度では115回、令和4年度では281回と増加しています。

 今は核家族化が進み、育児は社会的な課題となっています。一人で悩まず遠慮なく行政機関や医療機関に相談してください。