病気について知る病気の解説

眼底検査を受けましょう

2023年8月18日

「良く見えているので、大丈夫」…このような場合、眼科を受診する動機はなかなか得られないと思います。しかし、目の病気には、初〜中期までは自覚症状に乏しいものがあります。加齢や目の病気で「ぼんやり、暗い、かすむ、視界が狭い」など症状がゆっくり進むこともあれば、突然現れる場合もあります。そうなる前に「眼底検査」を受けてみましょう。

 眼底には目の病気の早期発見につながる情報(所見)が詰まっています。検査では、眼科医が直接眼底を観察、または眼底カメラで撮影し、特に血管、網膜、視神経に着目し、それが正常か否かを確認します。少し眩しいですが、痛みはありません。正常でない所見があれば病気の早期発見につながり、また定期的な眼底検査で、目の病気の経過観察や新たな発見が可能となります。次に挙げるのは眼底検査で見つけることができるおもな目の病気です。

■緑内障(視神経乳頭陥凹拡大)

視神経の病気で徐々に視野が狭くなりますが、ある程度進行するまで視力は下がらず、異変に気付いたときには中〜後期になっています。日本人の失明原因の第一位です。

■糖尿病網膜症(眼底出血)

自覚症状が出にくく、見えづらいと感じる頃にはかなり悪化しており、視力の回復が難しくなります。糖尿病の方が網膜症を発症するまでの期間は1〜20年と幅広いですが、平均すると15年で約40%の人に発症します。糖尿病の方は症状がなくても必ず定期的な眼底検査を受けて下さい。

■黄斑変性

ゆがむ、見ようとするところが見えづらいなど自覚症状が出やすいので、眼底検査とともに「アムスラーチャートによるセルフチェック」が有効です(日本眼科医会ホームページに目の健康状態をチェックできるツールがいくつかあります、ご利用下さい)。

■網膜血管の動脈硬化・閉塞(眼底出血)

眼底は外から血管を直接見ることができる唯一の場所です。高血圧、糖尿病、高脂血症などは動脈硬化が起きやすく、眼底検査で全身血管の状態が予測できます。

 では、どうすれば眼底検査は受けられるのでしょう?

 人間ドック、職場の定期健診 、自治体等の特定健診で眼底検査が行われることがあります。カメラで眼底を撮影し、判定します。しかし、すべての健診で眼底検査が行われるわけではありませんので、眼底検査を含む健診をお勧めします。

 また「メガネやコンタクトレンズを作る」、「目が赤い」、「メヤニが出る」、「かすむ」などで眼科を受診した際、「私の眼底は大丈夫ですか?」と聞いてみることです。受診時に自分が糖尿病であることや、緑内障や網膜の病気が心配であることを問診の際にお伝え下さい。

 また症状によっては散瞳剤の点眼を行い、瞳孔を開けて診る眼底検査が必要な場合があります。散瞳の影響はしばらく(4〜12時間くらい)残り、ピントが合いにくい、眩しいという状態が続きますので、症状がある場合はご自身での車の運転による来院は控えて下さい。(参考:日本眼科医会ホームページ「眼底検査」、一部追記)