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認知症についてのおはなし

2023年8月25日

高齢化社会が進むにつれ、認知症になる人が増加しています。2012年には全国で認知症患者が460万人、高齢者の15%でしたが、2025年には675万人、高齢者の20%が認知症になると予測されています。

認知症は年齢を重ねるごとに増加し、それに生活環境や生活習慣病などが関連しているといわれています。年をとるにつれ、ものわすれを気にする人も増えてきます。外来でそういう患者さんに接してみると、単なる加齢によるものわすれの人、軽度の認知障害がでてきた人、すでに認知症になってしまっている人に分かれます。 

 外来ではまず脳卒中などが原因の血管性認知症や脳の中に水がたまる正常圧水頭症、けががもとで脳と骨のすきまに血がたまる慢性硬膜下血腫、まれに脳腫瘍などがないかMRIやCT検査を行います。

 また薬物の影響がないか、あるいはもともとの知的障害、うつや統合失調症など精神疾患がないかも確認が必要です。

 認知機能のチェックとして自分の年齢、今日の日時など見当識が保たれているかどうかのほか、動物や乗物など単語を覚えてもらって後から問い直してみて答えられるか近時記憶を確認。野菜の名前を10個言ってもらう語想起テストなど総合的に認知機能を判断します。認知症であると判定するとどのタイプの認知症かも診断しなければいけません。

 一番頻度の多いアルツハイマー型認知症、先ほども述べた血管性認知症、幻のものが見えたりパーキンソン症状が進むレビー小体型認知症などあり、それぞれ違った治療を行います。

 アルツハイマー型認知症では、ある程度進行を遅くすることが期待される薬を処方します。また認知症にともなう徘徊やせん妄、妄想、怒りっぽくなるなどの症状をおさえる薬も必要になる場合もあります。

 アルツハイマー型認知症の進行を遅らせる薬は飲み薬やはり薬があり、しばらく新たな薬は出ていませんでした。近いうちに新薬が出る予定ですが、2週に一回の静脈注射の薬となります。今までの薬以上にその効果は期待できます。ただ副反応もあり、実際に副反応の出にくい体質の人しか使えず、そのためには前もって細かい検査も必要になるようです。金銭的にも高額になるようで使用できる患者さんはいままでの薬に比べ限られる可能性はあります。 

 またアルツハイマー型認知症に関しては自由診療になりますが、「MCIスクリーニング」という検査で軽度認知障害に将来ならないかある程度予知できます。軽度認知障害になると約5年でその半数が認知症になってしまうといわれます。検査自体は簡単にできますので気になる人は調べてみてもいいかと思います。