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スポーツ外傷について

2023年11月3日

田中医院 田中純一 先生

スポーツ外傷は、スポーツをしている際に、転倒したり、相手と衝突したり、強い外力が加わったときに発生します。打ち身や擦り傷、捻挫、骨折、突き指などがあります。以下に簡単にそれぞれの説明をします。

 (a)打ち身(打撲傷)

 打って皮下組織や筋肉などに損傷をおこしたもので、(図1)のように打った所を使わないように安静にして氷で冷やしましょう。RICE(ライス)と覚えましょう。

下腿部外側前面の筋肉を打った場合、筋肉が腫れて神経が麻痺して足首が背屈(図2)しなくなることがあるので、この部の打ち身は注意しましょう。

(b)擦り傷(挫創)

 サッカーなどで転倒して生じるケガで、主に皮膚の損傷です。水道水などの流水で傷口に着いた泥や砂を洗い流すことが大切です。汚れたままの状態で消毒して軟膏を塗ったりしないようにしましょう。

 (c)捻挫

 足首のいわゆる捻挫は、日常しばしば遭遇(経験)する外傷で、スポーツとも関連して多発し頻度の高い外傷のひとつです。捻挫は関節をひねって起こるものですが、その際、関節を構成するじん帯や関節のふくろ、皮下組織に損傷が加えられます。じん帯は関節を安定させ運動をコントロールする働きをもっているため、その損傷の程度によっては足関節の不安定性が生じます。

 起立あるいは歩行不能の場合は重症のことが多いです。また、“バキッ”と音がした場合も重症のことが多いですが、腫れ具合は必ずしも重症度と関係しません。じん帯の部分的な損傷は軽症であり、完全に断裂した場合は重症で手術を要する事もあります。骨折を伴うこともありますので、痛みの強い場合は整形外科を受診しましょう。

 (d)突き指

突き指も日常生活やスポーツ時に遭遇する頻度の高い外傷のひとつです。軽症の場合は、捻挫と同様、安静にし冷却により治りますが、重症の場合は、(図3)のように、腱断裂や骨折を伴い手術を要することもあります。受傷時、指が“ピン”と伸びない場合は重症の事が多いです。昔は一般的に「指を突いたら引っぱればよい」と考えられていましたが、それは誤りです。決して引っぱらないようにしてください。

 もし、突き指したと思ったら、(図4)のように“ピン”と伸ばした位置で固定してください。RICE(ライス)もお忘れなく!

 いい季節となり活動的になるシーズンです。大いにスポーツを楽しみましょう。

 

※RICE
Rest=安静にする

Icing=氷で冷やす

Compression=圧迫して腫れないようにする

Elevation=横になって患部を高く上げる