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ヒトメタニューモウイルス(hMPV)感染症

2023年11月10日

みやわきこどもクリニック 宮脇 零士 先生

 ヒトメタニューモウイルス(hMPV)は、2001年にオランダで、RSウイルス感染症と同じような症状のある子どもから発見されたウイルスです。親御さんから「ヒトメタ?hM?なんとか…が出ていると保育園の先生に言われたのですが、うちの子もそれですか? なんの感染ですか?」と質問されることがあります。あまり聞いたことのないウイルスかもしれませんが、新たな感染症ではなく、昔からある風邪の原因のウイルスの一つです。

 1歳未満から2歳までの乳幼児に感染する傾向があり、10歳までにほとんどの人が感染するといわれています。また、一度感染しても免疫がつかないので、何度も感染します。

 感染経路は咳やくしゃみによる飛沫(ひまつ)感染、手指を介した接触感染です。3月~6月ごろに流行することが多いですが、新型コロナウイルス感染症流行下の現在、流行時期が例年と異なっています。今年は7月にRSウイルスが流行し、やや遅れてヒトメタニューモウイルスが流行しています。

 症状としてはRSウイルスと似ており、咳、鼻汁、熱などの風邪の症状を認め、肺炎、気管支喘息の悪化、声枯れや犬の鳴くような咳嗽(がいそう)などクループ様の症状を呈することもあります。

 ヒトメタニューモウイルス感染症の治療は基本的に、咳、鼻汁、熱に対する対症療法しかありません。登園基準は特にありませんが、解熱し、咳、鼻汁などが落ち着けば問題ないです。

 ヒトメタニューモウイルス感染症は、普通の風邪ではありますが、時に重症な下気道の感染症(細気管支炎、喘息様気管支炎、肺炎など)となる可能性がありますので、症状の悪化が見られたり長引く場合は、その都度医師に相談しましょう。