病気について知る病気の解説

耳鼻咽喉科が診る異物

2023年11月24日

城北耳鼻咽喉科 堀泰高 先生

 耳鼻咽喉科関係の異物と聞いて、皆さんも昔ビー玉などの異物を鼻や耳に入れて取れずに怒られた方がおられるかもしれません。私もそのうちの一人で、幼少期、耳にビーズを入れて取れずに父に取ってもらった記憶があります。すごく怒られました。

 しかし、たかが異物ですがいろいろ危険な要素が含まれており、今から各部位ごとに説明していきます。

 まずは耳の異物です。圧倒的にお子さんが多く、小さなビーズや紙切れ、シールなどを入れてしまい来院されます。放置しておくと外耳炎など起こるかもしれませんが、緊急性はなく夜間であれば翌日に受診して取ってもらうと良いでしょう。

 ほかに耳の異物で大人、子どもで共通なのが虫などの生き物です。小さいアリやゴキブリ、中にはムカデなどが入っていることがあります。虫は行き場を失って暴れますので、爆音が耳に響きます。耳に水を入れて溺死させるなどの方法もありますが、余計暴れたり、めまいが起きることがあるので早めの耳鼻科受診をお勧めします。

 次に鼻腔異物です。ほとんどがお子さんです。やはり丸状のものを入れてしまいます。大したことの無いように思われるかもしれませんが、何かの拍子に奥に落ち込み気道異物になると大変で、緊急度が一気に上がりますので早めに受診をしてください。また長い間、異物を放置すると、鼻の粘膜が腫れてきて副鼻腔炎症状を起こすこともあり、はじめは異物が見つからず、後で異物がわかることもあります。膿性鼻汁が続く場合は一度耳鼻咽喉科受診を勧めます。

 最後に咽頭異物です。圧倒的に多いのが魚の骨です。土用の丑の日の翌日には毎年ウナギの骨が刺さった患者さんが来院されます。扁桃に刺さることが多いですが、舌の奥の付け根の舌根扁桃に刺さっていることもあります。多くは耳鼻咽喉科で使用する器械で摘出することができますが、小さいお子さんは難しいことがありますので、お子さんにウナギを食べさせる際はご注意ください。一番危ないのはタイの骨です。食道が裂けたり、消化管に入りそのまま消化されず、腸に達した後に腸に穴が開いたりする事もありますのでタイの骨は本当に注意が必要です。

 最後に耳鼻咽喉科以外ではありますが、PTP異物についてお話します。PTPとは錠剤やカプセルが入っているシート状のもので、1つずつ手では切り離せないようにしているのにもかかわらず、高齢の方は内服薬が多いためかハサミで1つずつ小分けに切って中身を取り出さずにそのまま飲み込んでしまう方がおられます。先が鋭利なので食道に引っかかったり、腸まで到達して腸が裂けて穴が開いたりすると大変なので、薬が入ったシートを1つずつに切り離さず、薬のみを取り出して内服するようにお願いします。