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尿管結石の治療・予防

2023年12月1日

松山市民病院 泌尿器科 曽我部裕文 先生

「尿管結石」という言葉に聞き憶えのある方は多いのではないでしょうか。とにかく痛い病気というイメージが強いと思います。尿管結石は、腎臓で作られ、尿管に落下し、詰まることで引き起こされる病気です。石と言っても鉱物ではなく、カルシウムが成分の大半を占めます。

 

 尿管結石の主な症状は、左右どちらかの背中、腰、下腹部の痛み、嘔吐、血尿などです。症状がなくても、偶然、健診やCTなどで見つかることもあります。検査は、CT検査が最も有用で、他にレントゲン検査や超音波検査、尿検査、血液検査などが一般的に行われます。結石の位置や大きさ、腎機能障害や尿路感染症の有無によって治療方法が異なります。

 

 尿管結石の治療方法として、大きさが10㎜未満であれば、自然排石を期待して保存的加療を行います。同時に、排石を促す薬を処方することが多いです。1カ月間以内に自然排石しない場合や、大きさが10㎜以上の場合は、手術療法を検討します。腎機能障害や尿路感染症を起こしている場合は、緊急処置として尿管ステント(ゴムでできたストロー状の管)や腎瘻(じんろう)カテーテル(背中から腎臓にかけて置く管)などを置くこともあります。

 手術療法には、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や経尿道的尿路結石破砕術(TUL)などがあります。それぞれの治療方法の内容、利点、欠点は次の通りです。

 

【体外衝撃波結石破砕術(ESWL)】

(内容)…体表面から衝撃波を結石に当て、砕く治療です。

(利点)…麻酔が不要で身体への負担が少なく、入院日数が短いです。(1泊2日※)

(欠点)…個人差はありますが衝撃波による痛みがあります。1回で結石が割れない可能性があり、その場合は複数回行います。それでも割れない場合は、TULへ変更します。

【経尿道的尿路結石破砕術(TUL)】

(内容)…内視鏡で直接尿管結石を砕き、取り出す治療です。

(利点)…麻酔をするため、手術時の痛みはありません。一度で結石が割りきれる可能性が比較的高いです。

(欠点)…麻酔が必要であり、入院日数が長いです(約4~5日間※)

※入院期間は目安であり、医療機関によって異なります。

 

 尿路結石は5年以内に約半数が再発するとされており、再発率の高い病気です。しかし、飲水や食習慣の改善により再発を予防することができます。わが国のガイドラインでは、以下が推奨されています。

  • 食事以外に1日2000ml以上の飲水(水、お茶)
  • 動物性たんぱく質、塩分、シュウ酸や脂質の過剰摂取制限
  • 果物、野菜、食物繊維、カルシウム、炭水化物、クエン酸を適量摂取
  • 1日3食のバランスの良い食事を心がける

※栄養素の適量についてはインターネットに記載があるため、そちらをご覧ください。

いきなりこれらをすべて実践することは難しいので、無理のない範囲で少しずつ食事内容や食習慣を変えていくことが重要です。