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足の裏の痛みについて

2024年3月22日

坪井整形外科 坪井一世 先生

  整形外科には「足の裏が痛い」との訴えで受診される人が多くいらっしゃいます。足の裏の痛みと言っても症状の出方はさまざまで、足をつくと痛い、じっとしていても痛い、朝だけ痛くて日中はほとんど気にならない、などです。ここでは足の裏の痛みを生じる代表的な疾患を紹介し、その特徴について説明します。

  • 足底腱膜炎(そくていけんまくえん)

 足の裏に膜状に張っている足底腱膜と呼ばれる場所に炎症や部分断裂が起き、土踏まずや、かかと付近に痛みを生じる疾患です。起床時に足をつくと痛みを生じることが多く、日中はあまり痛みを生じない人もいます。足裏と足指のストレッチや靴の中敷きで治療する場合が多いですが、治療に時間がかかる人も少なからずおられます。

  • モートン病

 足指の付け根あたりで指先に行く神経が圧迫され、特に足裏の前側(前足部)に痛みを生じる疾患です。経過が長くなると神経自体が腫れてコブのように膨らんでくるので、より圧迫されやすくなり、手術でコブを切除することが必要になる場合があります。

  • 足根管症候群(そっこんかんしょうこうぐん)

 内くるぶしの後ろを通る神経が圧迫などの障害を受け、足の内側で足の裏からつま先まで痛みやしびれを生じる疾患です。主に運動時に症状を認めることが多いですが、安全靴やきつめの靴など特定の靴を履いた時のみ症状を認めることもあります。靴が原因の場合は靴を変えるだけで症状が軽減することもありますが、一般的には鎮痛剤の投与やステロイド剤の注射が効果的です。それでも症状が改善しない場合は神経の通り道を広げる手術をすることもあります。

  • 腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)

 腰部の神経の束に起因する腰から足全体に痛みやしびれを起こす疾患です。背骨は後ろ側に円形の穴があり、そこを脳からつながる神経が通っています。よって背骨に変形があったり、並びが悪くなったりすると神経の通り道が狭くなって、結果的に神経の圧迫によりさまざまな症状が起こります。足の裏に砂利を踏んでいるような痛みがある場合は、この疾患の可能性も考慮しなければなりません。治療は鎮痛剤の投薬、神経ブロック、コルセットの処方、リハビリなど複数の治療を同時に行う場合が多いですが、なかなか改善しない場合には手術を行うこともあります。

 そのほか足の裏の痛みを生じる疾患は数多くありますが、いずれにしても大切なのは早期の診断につきます。疾患によって治療法は異なりますし、鎮痛剤だけを自分で飲んでいて原因の治療が出来なければ、病態が進行してしまう可能性もあります。足の裏の痛みが気になるようになったら、ぜひ早めにお近くの整形外科を受診してみてください。