病気について知る病気の解説

子どものうんちがでてこない

2025年2月1日

ひだまりこどもクリニック 河本敦 先生

  便秘で悩んでいる子どもは約10%いるといわれています。意外と多いですね。夜に小児救急外来をしているときに、腹痛で受診する子どもの最も多い原因は便秘です。とても痛そうで顔を真っ青にして受診します。浣腸してみると「野球ボールのような硬い便」が出て、みなさんすっきりした表情で帰っていきます。今回は子どもの便秘についてお話しようと思います。

 便秘になりやすい年齢は「離乳食開始時期」「トイレトレーニング 〝トイトレ” 開始時期」「小学校低学年」です。便が出ませんと受診される6カ月未満の子どもに浣腸すると、だいたいは柔らかい便が出てきます。これは正確には便秘ではなく排便するのが下手なだけです。生まれたばかりですから排便するコツをつかむのに時間がかかることもあるでしょう。ちゃんと哺乳し、体重増加し、痛がらないのであれば大目にみてあげてください。何もせずに様子を見て、成長を待つのも治療です。
 「離乳食開始時期」は母乳・ミルク栄養から離乳食が始まり、腸内環境が変化したことが原因になることが多いです。
 「トイトレ開始時期」「小学校低学年」は排便ガマンが原因になることが多いです。立ったまま両脚をクロスさせて必死に排便をガマンしてしまう方(子ども)もいます。一度排便ガマンが習慣化すると便が肛門付近に溜まり、次々と降りてくる新しい便のフタになってしまい、慢性的な便秘になってしまいます。
 便秘の診察では、「排便回数」「便の色や硬さなどの性状」「排便時の腹痛」「肛門が切れて出血しないか」などを確認します。便秘記録ノートを作って細かに教えてくれる方(保護者の方)もいて、大変助かります。
 検査では超音波を使うことが多いです。肛門付近の腸である直腸がうんちによって拡張しているか、直腸内のうんちが硬すぎて周囲の膀胱を圧迫しているかなどを観察します。
 治療はフタになっている硬いうんちを取り除くことから始まります。頑固な便秘には連日浣腸をすることもあります。おくすりは年齢や便秘のタイプによって分かれます。

 トイトレや、食べ物も便秘に関係します。トイトレに関しては、多くの子どものトイトレをしてきた保育士の先生に教えてほしいくらいです。私は、我が子がふんばるときは一緒に顔を赤くしていきんでいました。
 食べ物に関してはいくつかありますが、有名なもので「水分を多くとると便秘がよくなる」のは一部本当で一部ウソのようです。正確には「便秘のおくすりである酸化マグネシウムを内服するときに多めの水で内服すると効果が出やすい」です。おくすりを内服していない便秘の子どもがたくさん水分をとっても、ほとんどの水分はおしっこになり、あまり便秘には効果はないようです。この食べ物は便秘にいいのか?など質問があればお近くの小児科の先生に聞いてみてください。