病気について知る病気の解説

HPVワクチンの先進国と日本の状況

2021年4月23日

 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは、子宮頸がんワクチンともいわれていますが、先進各国では男子への接種を開始しています。これは、HPVが男性にも感染し女性に感染させてしまうためや、両者への接種で感染者を減少させるため、また、このウイルスは男性も発症する中咽頭がん・肛門がん・陰茎がんなどの原因でもあるので、男性への接種も有益であるためです。
 実際、オーストラリアでは、2013年から男子も定期接種化し、その結果、子宮頸がんの原因の75%を占めるHPV感染が77%減少しました。アメリカは2011年から、英国は2019年9月から男子が定期接種の対象となっています。
 わが国はどうでしょうか。このワクチンは今現在は女子のみ公費で接種できますが、副作用の報道があり、それ以降、積極的接種の推奨がされていないため、接種が低迷しています。
 日本では、子宮頸がんは1年間で11000人程度(2017年)発病し2800人程度(2018年)の人が亡くなったと報告されています。オーストラリアと同じように接種すれば、この病気で亡くなる人もかなり減少すると思われます。
 最近、HPVワクチンの有効性・安全性に関するリーフレットなどを、接種対象者およびその保護者に個別にお送りすることが決まりました。資料が届いた人は速やかに接種することを勧めます。
 また、欧米では90%の子宮頸がん予防効果が期待できる9価ワクチン(シルガード9)が標準ですが、日本では定期接種化されていません。急な定期接種化を望んでやみません。