病気について知る病気の解説

器質性月経困難症をご存じですか?

2021年6月25日

 月経(生理)のときの痛みや気分不良などの苦痛が日常生活に支障をきたすほど強い場合を「月経困難症」と呼びます。月経困難症の原因には、子宮の収縮による機能性のものと、病気によって引き起こされる器質性のものがあります。
 器質性の原因となる病気には、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などがあります。近年、晩婚化など女性のライフスタイルの変化に伴って器質性のものが増加傾向にあり、これにより月経時の生活の質が低下したり、不妊の原因となることが知られています。したがって、気になる症状のある方は早めに婦人科での受診をおすすめします。特に、月経痛が徐々に強くなっている方や、下腹部の痛み以外に下痢や排便時の痛みを伴う方は注意が必要です。
 治療は、子宮内膜症や子宮腺筋症に対して40歳未満の方は、主にLEP(ピル)の処方、40歳以上の方は主にプロゲスチン(黄体ホルモン製剤)の処方が行われます。また、子宮筋腫にも内服薬による治療が行われます。
 いずれの病気においても、薬で軽快しないときは手術が必要になったり、子どもさんを望む方は体外受精などの不妊治療を行うことがあります。また、現在は子どもさんを希望していなくても、将来的なことを考えて検診を受けたり治療をしておくことは大事であり、いわゆる「不妊予防」の考え方が注目されています。
 検診を始める年齢は、初経の頃から閉経までと幅広く、特に不妊予防の観点から十代の頃から器質性月経困難症や不妊症に対する意識を高めておくこと、そして勇気をもって婦人科で相談をしておくことが大切です。