病気について知る病気の解説

「胸がドキドキとする話」 動悸が教えてくれる心臓の病気

2021年7月9日

 循環器内科は主に心臓を診るところで、「胸がドキドキする」という動悸を訴えて受診される方も多いです。ひと口に動悸と言っても内容は様々で、全てが心臓の病気とは限りません。
 例えば全速力で走ればドキドキとするでしょうし、緊張やストレスでドキドキすることもあるでしょうが、これは病気ではありません。診察してみると発熱、貧血、脱水など心臓以外の問題が見つかることもあります。
 病院を受診したときに動悸の症状があれば検査をすると原因がわかるかもしれませんが、時々動悸がするけど今はどうもない、という場合には診断は難しくなります。症状がない時に検査をしても原因がわからないことが多いのです。
 そのような時にはまず動悸の様子を聞き取ります。どんな時に起こるのか、急に始まるのかだんだんと始まるのか、どれくらいの時間続くのか、どのくらいの頻度で起こるのか、などの様子から原因を思い浮かべ、それに合わせて検査の計画を立てます。階段を昇ると症状が出るのなら、運動負荷を行って心電図の変化を調べます。毎日のように症状が出るのならば、家庭や仕事場での記録を続ける24時間心電図検査を行なってみるか、あるいは頻度が少ないようならば、携帯型心電図の貸し出しすることもあります。
 検査をしているときに動悸が起きて、原因が不整脈とわかれば対処の仕方もわかります。心配する必要はないのか、内服薬を試してみるのか、あるいは不整脈の種類によってはカテーテル治療もあります。
 時々一瞬どきんとする、という場合には「期外収縮」のことがあります。これは余計な脈が急にポンとでるものです。手首や首で自分の脈をみてみると時々一つ脈が飛んでいることがわかります。特に心配する必要がないことが多いのですが、回数が多いようであれば、期外収縮の原因になるような異常がないかどうか、一度は心臓の検査を受けてみるのもいいと思います。
 特に決まったきっかけなく急に脈が速くなり、数分から数時間で急に治るのならば「発作性上室性頻拍」かもしれません。症状は強いのですが、たちの悪い不整脈ではありません。でも何度も起きて困るのならば、カテーテル治療という方法もあります。
 「心房細動」という不整脈が見つかると、これは心不全や脳梗塞の原因となることがありますので、薬を考える必要があるかもしれません。自分の脈をみてみると、脈の間隔や大きさがばらばらなことでわかります。
 ただ普段から時々自分の脈をみてみる習慣がないと、いざというときにいつもと脈が違うのかどうかがわかりにくいかもしれません。
 歳をとってくると不整脈は増えやすくなります。時々は自分の脈をみてみる習慣を身に付けておくといいでしょう。