病気について知る病気の解説

もしもの時、あなたならどうしますか?人生会議で話し合いをしていきましょう

2021年9月10日

 誰でも、いつでも、命に関わる大きな病気やけがをする可能性があります。命の危険が及んだ時に約70%の人は、どこまで診断や治療を受けたいのか、どこで、どのように療養し、生活するかなどを自分で決め、そしてその考えを人に伝えることが難しくなります。
 もしあなたが決定して伝えることができるなら、それを基にして、医療者と家族などとが話し合いを行います。例えば、体の状態が日々変化しているあなたが、最期まで家に居たい、極力自宅で過ごしたいなどの療養上の希望を伝えたとき、家族は、「状態が悪化した時はどうしよう」「日中一人の時に何かあったらと思うと不安になる」「介護をしたことがないので自宅療養は無理だ」と口にすることがあります。そこであなたと家族と医療・介護スタッフが一緒になって、あなたが大切にしていることや、あなたの生き方などを基に、それぞれの立場からの視点で気がかりなどを明らかにします。そして医師、看護師、ケアマネジャーなどが、あなたと家族が抱える不安な事への対策を示した後、皆で方針を決めます。
 では、あなたが自分の考えを伝えることができないときはどうでしょうか。
 その場合には、あなたの考えや希望を知っている家族などが、「あなたならこうするであろう」と想像して決めていきます。例えば、「もう年なので何かあっても何もせんでええ」や、「孫が小学校に入学するまでは頑張りたい」などと言われていたことが、あなたの考えとして大きな情報となります。
 また、病気やけがのために生活が難しくなり援助が必要となった時、誰かの手伝いを受けて生活したいという人や、反対に家族に迷惑をかけたくないので自宅での生活をあきらめる人もいます。同じ状況でも人により選択は異なり、さらにその考えも、時により変化していきます。
 そのため、あなたが自分の考えや希望を周りに伝え、家族、信頼できる人たち、医療・介護者スタッフと共有していくことが必要となります。
 2018年に厚生労働省から、人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)という考えが発表されました。人生会議とは、その人らしく生活するために話し合いを行うことです。
 飲み込む力の低下で肺炎(誤嚥性肺炎)が生じた時、治療のため食事を中止して点滴で対応します。誤嚥性肺炎が治った後は、肺炎の予防のためには食べない方がいいのですが、あなたの「食べたい」、家族の「食べてほしい」という希望がある場合、どうでしょうか。
 そもそも飲み込む力の低下した原因は何か、そして食べることの目的や意義なども話し合ってから、どうするのかを決めます。医師、ケアの担当者から現状と予測される経過を話した後、あなたと家族の希望、価値観を基にして話し合うことが大切です。そのためにはまず、あなたの考え・希望を教えてください。