病気について知る病気の解説

「けいれん」の現場を目撃したら

2021年10月15日

 「けいれんがありました。てんかんでしょうか?」という相談をよく受けますが、けいれんが止まってから病院へ到着することが多いため、診断が難しい場合があります。
 けいれんは、いろいろな理由で起こります。けいれんを起こした患者さんの2、3人に1人は「てんかん発作である」と正しく診断することが難しいという報告があります。そのなかの8割は、心臓の病気、脳血管の病気、そして心の病気が占めているのです。
 さまざまな検査が診断に役立ちますが、最も大切な手掛かりは目撃情報です。「手足の動きは?」「目は開いていた?」「顔色はどう?」「長く続いた?」など、現場にいた人たちにけいれんの様子を教えてもらうことで、多くの医師が助けられています。
 一例を挙げます。脳を流れる血液が減ると、意識を失うことがあります。この「失神」と呼ばれる発作はけいれんを伴うことがあるため、てんかん発作と区別しにくい病気の一つです。しかし、イギリスとカナダの合同調査によると、てんかん発作あるいは失神発作を起こした患者さん500人について「目撃情報だけ」を頼りに両者を区別してみたところ、94%という高い確率で正しく診断できたそうです。
 実際にけいれん発作の現場を目撃することはまれなことですし、驚いてしまうものです。しかし、あなたの「目」が正しい診断と適切な治療へ導いてくれることがあります。救急隊員または担当医師へ、あなたの言葉で情報を提供いただけないでしょうか。何とぞよろしくお願い致します。