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女性の心身の不調は鉄不足が原因かも

2022年2月4日

 女性は、男性に比べると、不安、抑うつ、苛々、クヨクヨしやすい、疲れやすい、朝が起きにくい、立ちくらみ、めまい、冷え、のどのつまり等々、心身の不調を感じる方が多い傾向にあります。一般的にはストレスがその要因となっている場合が多いと思います。
 今回は、上にあげたような症状が鉄不足で起こっているかもしれないというお話です。鉄はヘモグロビンと結合して全身に酸素を運ぶという重要な働きをしています。皆さんは血液の味をご存知ですか。多分、鉄の味だと感じた方が多いのではないでしょうか。鉄は人間の体にとって、とても大切なものです。女性は生理というものがあります。この時に血液を失います。鉄は、食べ物で補わなければならないのですが、一般には食べ物だけでは十分には補えません。女性が鉄不足になりやすいのも当然と言えるでしょう。
 一般的な血液検査では血色素(ヘモグロビン)の数値を見て貧血を判断します。しかし、血色素が正常値であっても、貯蔵鉄であるフェリチンが低いと上記にあげたような症状を呈することも少なくありません。
 女性の場合、フェリチンの基準値は5~157ng/dlと言われています。諸説ありますが50~80ng/dlは必要と考えられています。しかしながら、80%以上の女性で20ng/dl以下の方が多いと言えます(閉経後はフェリチンの量は増えてきます)。そうなると食べ物以外で鉄分を補わなければなりません。
 サプリメントなどで鉄分(ヘム鉄)の入っているものもありますが、多くは量も少なく、飲んでも飲んでもフェリチンの値は上がってこない事もあり、高濃度なものが必要となってきます。一方、医薬品である非ヘム鉄は吸収が悪く、便秘、吐き気などの副作用が起こりやすいこともあり、服用できない方もいらっしゃいます。鉄分を補えば必ず上記のような症状が改善するというわけでもなく、これも諸説ありますが、症状が改善する人は10%ぐらいと考えていただければと思います。医師の中には鉄、ビタミン、プロテインである程度の症状が改善すると言われる方もおられます。
 女性が疲れやすく、情緒不安定になりやすいなど、心身の不調を感じる方が多いのは、案外、鉄不足が原因かもしれませんね。