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赤ちゃんの耳の形について

2022年3月18日

 3月3日の「耳の日」にちなんで、今回は耳の話をします。もし、生まれたばかりの赤ちゃんの耳の形に、気になるところがあった場合にはどうしたらよいのでしょう。さほど目立つ部分ではなく赤ちゃんのうちは生活に支障がないため、しばらく様子をみようと思われるかもしれません。しかし、耳の変形は生後早い時期の方が、手術をせずに形を整える治療がうまくいきやすいのです。中でも程度の強い「折れ耳」(耳の折れ曲がり)や「埋没耳」(耳の上部が変形して皮膚に埋まりこんだ状態)を放置すると、先々めがねやマスクを耳にかけられずに困るため、早めの治療が必要になります。
 生まれたての赤ちゃんの耳の軟骨はやわらかく、外力によって形を変えたあとに力を取り除いても形が元に戻らない「可塑性」という性質をもっています。この時期に耳に装具をあてて過ごすことで、短い期間で軟骨の形を整えることができます。生後、軟骨は次第に硬くなり可塑性が低下していきます。軟骨が硬くなりはじめてからでも、時間はかかるかもしれませんが矯正効果は期待できますので、まずは治療を始めてみましょう。
 赤ちゃんによっては、装具を嫌がって自分で外してしまうなどの理由で治療を続けられないことがあり、また、生まれつき耳の軟骨や皮膚の量が不足し、軟骨の矯正だけでは十分に形を良くできない場合もあります。気になる変形が残った場合は、将来、手術で改善することが可能です。
 赤ちゃんの耳の形で心配なことがあれば、お近くの形成外科での受診をお勧めします。