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塗り薬の話

2022年4月22日

 皮膚科といえば塗り薬です。多くの塗り薬の中から、適当な種類、強さの薬を選び、塗り方を指示し、治療が順調に進んでいるかを監視するのが皮膚科医の仕事です。
 当たり前のようですが、湿疹に対して抗菌剤を塗っても効きませんし、水虫に湿疹の薬を塗ると悪化する恐れがあります。良くならない場合は、診断を考え直す必要があります。
 また、同じ系統の外用薬にも、作用の弱いものから超強力のものまであります。必要以上に強力な薬を塗って、問題を複雑化させることもありますし、弱すぎて効かない薬を塗っても意味がありません。年齢、塗布部位、症状の強弱に応じて、必要にして十分な強さの薬を、正しい塗り方で塗りましょう。
 患者さんの皮膚との相性が悪い場合、塗った薬にかぶれる場合があります。「かぶれの治療薬にかぶれる」などという、笑うに笑えないことさえ起こります。その場合、熱心に塗れば塗るほど悪くなるので、おかしいなと思ったら医師に診てもらってください。
 いわゆる「ステロイド」と呼ばれる副腎皮質ホルモン外用剤は、顔面などに長期間塗り続けると、赤ら顔やニキビ様の変化が起きることがあります。また、高齢患者の老化した皮膚をますます萎縮させるなど、ステロイド皮膚症という現象を起こすこともあります。使用部位や使用期間を含めて、医師の指導に従っていれば、あまり重大な問題は起こらないはずですので、ステロイド剤を過度に恐れないでください。
 定期的に皮膚科医の診察を受け、その指導に従い、正しい外用療法を辛抱強く続ければ、頑固な皮膚病もきっとよくなることでしょう。