令和元年度 松山看護専門学校 学校関係者評価報告書
令和元年度 松山看護専門学校 学校関係者評価報告書
この学校関係者評価報告書は、松山看護専門学校の令和元年度自己点検・自己評価報告書に対する学校関係者評価委員からの意見を取りまとめたものである。
令和2年6月19日
学校関係者評価委員
委員長渥見秀夫
1 学校関係者評価の目的
本校全般の運営について、教職員自らが自己点検・自己評価し、それに対して学校関係者から意見を聴き、これを踏まえて学校運営の組織的、継続的な改善に取り組むことを目的とする。
2学校関係者評価の基本方針
本校の自己点検・自己評価活動は、厚生労働省が示す「看護師等養成所自己点検・自己評価指針」に則り、8カテゴリー・41下位項目・129評価項目にわたって、3年周期で実施し、学校関係者評価は、3年ごとに、看護・教育等に識見や経験を有する学識経験者と専門分野等関係者の方々に評価していただくこととしている。(前回は、平成30年2月19日に評価を受けている。)
昨年度、高等教育の修学支援新制度の機関要件として、学校関係者評価を毎年度実施することが求められたことから、これまで実施してきた専門分野等関係者の評価を維持しつつ、それ以外の年度においては、学校と直接関係する卒業生、保護者、地域有識者、関係業界の方々を委員とする学校関係者評価を新たに実施することとした。
3 学校関係者評価のポイント
- 自己評価結果の内容の適切性
- 自己評価結果を踏まえた今後の改善方策の適切性
- 学校の重点目標や評価項目等適切性
- 学校運営の改善に向けた実際の取り組みの適切性
4 学校関係者評価委員名簿
種別 |
氏名 |
所属 |
関係業界 |
渥見秀夫(委員長) |
聖カタリナ学園高等学校校長 |
杉野洋介 |
愛媛県社会福祉協議会常務理事 |
|
地域有識者 |
正岡いづみ |
松山市番町公民館館長 |
保護者 |
橋根勝義 |
保護者 |
卒業者 |
髙垣杏紗 |
卒業生 |
【総評】
今回の学校関係者評価は、新型コロナウイルス感染拡大の中、学校関係者評価委員が一堂に会することがかなわず、各委員の書面による評価を委員長の責任において集約するこことした。
学校運営の改善に向けた取り組みも自己点検・自己評価の取り組みも真摯かつ着実に行われており、十分評価できる。
その上で、「看護大学が複数校存在する中で、3年でカリキュラムを終え、看護師資格が得られる松山看護専門学校の特徴をよりアピールする。」「ICTの活用は医療関係者に必須のものであり、学校全体で一層推進する。」「教員の資質向上に欠かせないのはやはり教員の人員確保であることから、諸問題の解決のため、定数以上の教員確保に努める。」等のさらなる取り組みに期待する。
今後とも、看護教育をめぐる諸情勢・諸動向を注視しながら、今回の点検で明確化した諸課題を一つずつクリアーしていき、ますます地域社会に貢献できる学校であり続けることを願う。
【運営目標別評価意見】
(目標)
Ⅰ教育成果の向上
1 教育内容と方法の充実を図り、看護師国家試験合格率100%を維持する。
〇評価できる。
〇合格率の向上や休学者・退学者数の減少など、教育内容と方法の充実を図る着実な努力が認められ、評価できる。
〇例年合格率は全国平均をはるかに上回っており、教育内容は充実していると思われるが、今後もさらなる充実を図ってほしい。
〇全国平均と比較し高い合格率を維持しており、今後も維持できることを願っている。
〇近年、100%でない年も不合格者は1名という状況は評価できる。指導方法の改善等が100%の達成・維持につながることを期待する。
〇目標達成のために教員間の授業研究は欠かせないが、教員の負担感が大きすぎると形式化・形骸化するおそれがある。たとえば授業は立ち見見学のみのオープンな雰囲気で行い、研究会形式での「できないことの指摘や批判」ではなく、「興味深かったことや学んだこと、気づいたこと」を何らかの手段で交換・公開し合うにとどめるなど、ハードルを低くして試みることが有効であろう。
〇周知できたこと・始められたところがある点は評価できる。
〇ICTの活用は医療関係者に必須のものであり、学校全体での取組を一層推進していただきたい。
〇医療の世界は日々進歩しており、教育内容もそれにつれて多くなっていると思われる。
〇ポリシーとの関連付けに苦慮する前に、ポリシーそのものを、もう少し簡略化・汎用化してもよいのではないか。
(目標)
Ⅰ教育成果の向上
3 社会人基礎力を経年的に育成する。
〇十分な取り組みがなされ、目標も達成されており、高く評価できる。
〇本項目が高い自己評価結果となっていることは評価できる。
〇社会人基礎力の育成は非常に重要であり、今後も継続して取り組んでほしい。
〇専門教育はもちろんのこと、社会人として備えておくべき資質の向上に引き続き努めていただきたい。
〇看護職の地域貢献度合いは非常に高く、今後も、社会人基礎力の向上に取り組んで欲しい。
〇教員が学生に地域の何を見てどんなことを考えてほしいのかを、掲示板などを使って話題を日常的にヴィジュアル化してみるような工夫もあってよいだろう。
(目標)
Ⅰ教育成果の向上
4 卒業率95%以上を維持できるように学生支援の充実を図る。
〇目標にやや及ばなかったとはいえ、42名中の3名のみの減少にとどめたことは、十分に評価できる。
〇評価できる。入学時に目指した目標や気持ちを、卒業まで学生が維持できるように、周囲が寄り添い支援できているものと考える。
〇休学者・退学者が1、2年次に多いことは、学校側よりも学生側に学業継続上の問題点があると推察される。
〇昨今の厳しい社会経済情勢からやむなく退学となる場合も考えられ、学校として適切なフォローをお願いしたい。
〇学生指導の中に、メンタルヘルスなど体調管理をする部門を新設すべきである。
(目標)
Ⅰ教育成果の向上
5 教員の資質向上を図る。
〇専任教員確保の困難さが評価結果に如実に表れている。
〇経費的な面もあると思うが、学生のため、教員のため、学校のため、専任教員の確保に積極的に取り組んでいただきたい。
〇教員の資質向上に欠かせないのはやはり教員の人員確保である。定数ギリギリでは個人負担が大きくなるばかりで改善には繋がりにくいと思われる。安定した人員確保は直近の課題である。
〇高校看護科・専攻科でも大学看護学科でも、共通に抱えている課題である。HPや看護協会・ハローワーク等を幅広く活用しつつ、教員の個人的なルートを生かした卒業生や知人などへの働きかけも絶やすべきではないだろう。
(目標)
Ⅱ学校運営の安定
1 受験者数を確保する。(受験倍率3倍)
〇多くの機会を使った活発な広報活動が好結果を生んでいて、高く評価できる。
〇優秀な学生を確保するためにも、今後とも3倍の受験者数確保に努めていただきたい。
〇単に倍率を目標にするだけで無く、いかに優秀な学生を確保するか、そのために何をすべきなのかをあげてほしい。オープンキャンパスなどの宣伝活動や、各高校への進学案内の充実なども考慮されたい。
〇新型コロナウイルス感染の地球規模での問題化は、医療・看護を筆頭とする、人々の命と生活にかかわる仕事の不可欠性をエッセンシャルワークとして際立たせた。この分野を志す人々を尊重する社会的認識が育っていく中で、自信をもって広報に努めてほしい。
(目標)
Ⅱ学校運営の安定
2 働きやすい職場づくりの促進を図る。
〇女性主体の和やかな雰囲気の職場でありながら、教員間のコミュニケーションが規律を保って行われている。信頼感が持てて、高く評価できる。
〇教員の雰囲気が学生に伝わると思うので、引き続き良好な関係を維持するとともに、新たな専任教員の確保により、一層の活性化を図っていただきたい。
〇ワークライフバランスなどへの関心を持ち続けて、より良い職場づくりを継続してほしい。
(目標)
Ⅲ看護学校の将来構想
1 第1看護学科の今後の在り方について検討する。
〇評価結果の低さは目標値の高さの表れでもある。反省点は明確なのだから、看護教育をめぐる諸情勢・諸動向を注視しながら、一つずつクリアーしていくことを期待する。
〇学校の中核である第1看学科の充実は最重要課題と考えられるので、カリキュラム改正を始め、様々な課題に学校を挙げて取り組んでいただきたい。
〇第1看護学科の三つのポリシーは素晴らしいと思う。現代社会において、看護能力や技術が素晴らしいだけでは通用しにくいのが現状である。患者に寄り添い、医療従事者間での信頼関係を構築できたうえで、看護にあたることが重要になっている。中長期的な取り組み強化を望む。
〇カリキュラムが整備され、教育成果は上がっていると思われる。 現在看護大学が県内にも複数校存在する中で、看護専門学校の果たすべき役割をアピールする必要があると思われる。